手術前夜主治医から手術の必要性、目的、方法、合併症についての説明がありました。
以下は固有名詞以外、説明文書の全文です。
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説明書 |
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患者氏名 まんぼうじろう
生年月目1997.○月○日
病状 歩行障害
1.手術療法選択の背景とその必要性
いままでの検査で脳の中に腫瘍を疑わせる病変があります。
腫瘍は基本的に増殖
する傾向があり、放置すれば腫瘍が大きくなり、
神経症状の悪化に引き続いて生命に
危険が及びますから、なんらかの
治療が必要です。
今回は以下の理由により手術(開 頭腫瘍摘出術)をする必要があると考えます。
腫瘍には良性のものから悪性のものまで色々あり、その種類により予後が異なります。
また、腫瘍の種類により、最もよい治療法が異なります。手術で多くとるほど、
治療成績のいいものや、手術でとる量はあまり影響せず、むしろ化学療法や
放射線療法 といった別の治療が必要なものもあります。
腫瘍の種類は、これまでの検査である程度 予想していますが、最終的な結論は手術で
腫瘍を取って調べなけれぱわかりません。
従って、今回の手術の目的は、腫瘍を取ることと、腫瘍の種類を調べる(病理診断を得る)
ことの2つです。
腫瘍は原則として出来るだけ取りますが、危険性と必要性を考え
た上で、部分的な
摘出にとどめる事があります。
2.危険性
開頭腫瘍摘出術の危険性には、全身麻酔の危険性の他に、以下のような危険が
考えられます。
神経症状の悪化(手足の麻庫、失語など)の可能性が考えられます。
恒久的な障害(治らない障害)が残る可能性もあります。神経症状の悪化は、手術中に
(あるいは手術後に)、脳の損傷、脳の血流障害・脳腫脹(脳が非常にはれること)
・脳 梗塞・頭蓋内出血(脳出血など)などが起こる結果として起こるものと考えられます。
こうしたことにより、程度によっては、意識が戻らないことや生命に危険が及ぶといった
可能性があります。 その他の危険としては、大量出血が考えられます。
場合によっては、
輸血を行う必要が出てきますし生命に危険が及ぶ事があります。
手術後てんかん発作がおこる可能性があります。
また、手術後に創から脳内へ感染が起こる可能性があることです。
これが起こる可能性はそれほど高いものではありませんが起これば非常に危険です。
また、手術後に肺炎などの全身に対する感染がおこることがあります。
開頭術後に視カ障害をおこすことがあるといわれています。
頻度は高くありませんが、
術後、肺血栓・塞栓症がおこることがあり、 生命に危険が及ぶ可能性があります。
3.今回の手術で特に説明を要する事項
# 手術方法
手術は全身麻酔下に行います。左を下にした側臥位の状態で頭部を固定し、
左後頭
部を中心に大きな弧状の皮膚切開を加えて行います。後頭骨を一時的に
取り外しま
すが、これは腫瘍摘出後に戻します。腫瘍へのアプローチとしては、
大脳の両側後頭
葉の間のスペースを利用して行います。
左側の後頭葉を圧排しながら、小脳の上面に
あるテントと呼ばれる膜組織を切開し、
腫瘍近傍に到達します。
水頭症は第3脳室底
開窓術の後軽快していますが、手術中の脳の圧迫などで圧の
コントロールが難しい場 合、脳室内にドレーンの挿入が必要になることもあります。
腫瘍は上部脳幹である中脳の背側を占めていますが表面は正常の脳組織に覆わ
れていることが予測されます。
このため脳幹表面の組織を一部切開する必要が生じる 可能性が高いです。
腫瘍はグリオーマという神経組織そのものから出て来て境界が明
瞭でないもの
である可能性が高いため、高率に神経脱落症状が予測される全摘出術は
今回予定されていません。
腫瘍の嚢胞の部分を開放し、充実性の明らかに異常と思
われる場所を摘出して
病理診断を行います。止血などを確認して骨弁を戻し皮膚を縫 合します。
# 腫瘍の場所による合併症の特徴
腫瘍は中脳の左側に位置しています。中脳はその中心に意識中枢が位置するため、
ダメージを受けると重篤な意識障害を呈します。恐らく意識を司る最重要部分は腫瘍よりも
腹側に位置するため、腫瘍摘出時に深部に至らない様十分な注意を払います。
しかし脳幹の手術の後で一時的にでも閉じ込め症候群や無言症などの意識障害をきたす
例はあります。
今回腫瘍に到達するために切開が必要になると思われる中脳の背側には、眼球運動、
特に追視機能や瞳孔のサイズの調節、対光反射の経路が走っているためそれらが影響を
受ける可能性があります。聴覚の伝導路も通っているため聴覚の異常、また音のする方向
に首を向けるなどの反射的な動きが障害される可能性もあります。
聴覚や感覚の機能に関しては、今回の手術では電気生理学的にモニターをしながら行います。
運動神経の線維は最も腹側を走っているためその直接的な障害による運動麻痺は
一般的には
起こりにくいと思われますが、腫瘍の場所は脳幹と小脳の連絡路にもかかって
いるので、 失調などバランスの障害が特に左側に出る可能性があります。
手術アプローチに際しては、後頭葉の圧排が必要になりますので、術後例えば右半分
などの 視野障害が出ることがあります。
一時的なものも含めると視野障害はこの手術法では比較的多い合併症です。
また脳の深部を環流する非常に太い静脈が腫瘍到達までに確認されますので、
これらを損傷 しない様最大の注意を払いながら行います。
この深部静脈からの出血や閉塞を生じると生命の危険にも関わるからです。
平成○年8月○日
脳神経外科 医師 ○×△□
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説明はまんぼう父と私の二人で聞いた。
以上の内容に過不足なく、医師の説明は、慎重かつ冷静で私たちの質問事項にも丁寧に答えてくださった。
しかし、致命的な合併症や重篤な障害の危険を持つ手術であり、
私たちの不安は増すばかりであった。
手術の予定時間は?の問いに医師は「朝一番に手術室に入っても、麻酔やナビゲーション、モニターの設定だけでも昼近くまでかかります。時間がかかっても、それは丁寧にやっていると思ってもらったらいいです。」という返答。
全く安心はできないが、この医師は信頼するに足る人物であり、任せるしかないと思った。
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